Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おとなのめとこどものめ

大人の眼と子供の眼

水上 滝太郎

Lesen Sie 大人の眼と子供の眼 (おとなのめとこどものめ) von 水上 滝太郎 (みなかみたきたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.719 Zeichen · 10 Bildschirme

Aozora Bunko

早く叔父さんのように大きくなりたいなあと、つくづく感じたものであった。川を越えて石を投げ得る人は、あらゆる事の勇者であるような気がしたのである。叔父はその後友人の負債の責任をしょって東京にいられなくなり、各地を流転したあげくに、殆ど誰も知らないような状態で、北海道で死んでしまった。

つい近頃往年の木挽町の河岸をぶらついた事があった。町の様子にも変りはなく、向う岸の海軍大学の景色も昔通りだった。だが甚しく意外に思ったのは、川幅の至って狭いことだった。子供の時に見た大人の偉さと同じく、大人になって見ると大したものではなかったのである。

祖母も叔父も豆叔父も今は世になき人であるが、叔父の住んでいた家は以前のまま残っていて、知らない人の表札がかかっていた。去るに忍びない心持もあったが、幸い附近の人影も見えないので、足もとの小石を拾って向う岸まで投げて見た。別段力を入れないでも、無雑作に石垣に届くばかりでなく、樹木の茂った校庭にも楽々と投げこむことが出来た。二つ三つ投げ、最後のひとつをもう一度石垣に叩きつけた時、

「誰だッ。」

と校庭からどなって、灌木のしげみを押分けて顔を出した人があった。