Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.722 Zeichen · 286 Bildschirme

Aozora Bunko

と笑ったのも道理。道庵は、馬の頭の方へ自分の尻を向け、馬の尻の方へ自分が向いて乗込んだものだから大笑いです。

「ナアーニ、これが本格だ」

道庵はすましたもので、向きをかえようとも致しません。

「は、は、は、旦那は御冗談者だ」

馬方どもが笑いますが、道庵は笑いません。

「坂東武士が、敵にうしろを見せるという法はねえ」

さては、先生、大名の行列を見て戦わざるに逃げた余憤がこんなところへ来て、負惜しみをやり出したな。

しかし、先生が頑としてこの乗り方を改めないものですから、馬方もぜひなく、そのまま馬をひき出しました。

ですから、通行の人が指さしては笑います。

それをいっこう取合わない道庵は、

「なあに、これが本格の乗り方だよ、笑うやつは古式を知らねえのだ」

というが、大坪流にも、佐々木流にも、こんな乗り方はなかったはず。

ははあ、読めた。熊谷の蓮生坊が上方から帰る時は、西方浄土を後にするのを本意にあらずとして、いつでも逆に馬に乗って『極楽に剛の者とや沙汰すらん、西に向ひて後ろ見せねば』と歌をよんだ。先生、その伝を行っているのだな。しかし、東に向いたのでは意味をなさない……やはり、いまおびやかされた、大名の行列に対する意地張りでしょう。