Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.722 Zeichen · 286 Bildschirme
お角へ沙汰をすれば、あの女は一議に及ばずここへやって来る。お絹と面を合わせるようなことにでもなれば、この根岸の天地が晦冥の巷になる。それはずいぶん恐ろしい……どうかして、うまくお角を誘き寄せる工夫はないか。ともかく、手紙をひとつ書いてみようではないか。神尾主膳はその心持で手紙を書きかけたところへ、お絹が帰って来たものですから、その手紙をもみくちゃにしてしまいました。
「ただいま帰りました」
「お帰り」
と言ったが、神尾はやはり苦々しい心持です。
「ああ、今日はずいぶん歩きました」
「どこへ……」
「どこという当てはございませんけれど……」
神尾はひとりで留守居をさせられている時は気が焦々し、帰って来た瞬間は、人の気も知らないでといういまいましい気分になりますけれど、やがてあまえるような口を利き出されると、つい、とろりとして可愛がってやりたい気になります。そこで、結局、あれもこれも、有耶無耶です。
やがて、二人睦まじい世間話、
「今の坊さんたちの商売上手には、驚いてしまいました」
「どうして」
「今日、上野の広小路を通りかかりましたところ、坊さんのお説教とばかり思って見ましたら、不動様の御本尊の巻物を売り出しておりましたよ」