Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.722 Zeichen · 286 Bildschirme
「おはずかしい次第でございますが、わたくしが不束なばっかりに、主人の心を慰めることができません、連添って十年にもなりますが、子というものが出来ませんので、夫婦の中の愛情に変りはございませんが、家名のことを考えますると……」
「御尤もなこと」
「家名大事と思いまする夫は、妾を置くことに心をきめまして、このことをわたくしに相談致しましたが、聞くところでは、夫はもう以前から、そうした女を他に置いてあるのだそうでございます。わたくしと致しましては、それに不服を申そうようはございませぬ、快く夫の申出でに同意を致しまして、妾を内へ入れるようにと申しましたが、それは夫が気兼ねを致しまして……」
お絹はそこで、自分の苦しい立場を、言葉巧みに住職に訴えました。嫉妬ではないが、女のつとめが果せないために、夫の愛を他の女に分けてやらなければならない恨み。どんな方法によってでも、一人の子供を挙げることさえできたなら、死んでも恨みはないという繰言。それを細々と物語りました。
聞き終った住職は、
「いや、いちいち御尤もなこと、左様な恨みを抱く婦人が世に多いことでござる。御信心浅からずとお見受け申すにより、八葉の秘法を修してお上げ申しましょう、丑の日の夜、これへお越し下さるように……」