Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.722 Zeichen · 286 Bildschirme

Aozora Bunko

ホッと息をついて、

「お前様、これが、わたくしどもの控えでございます、もう御安心あそばせ」

「いや、おかげさまで助かりました」

やがて二人は廊下を通りかかると、その一室で音がする。その音は異様な音で、まさしく銭勘定の音であります。金、銀、青銅の類を取交ぜて若干の金を積み、それをザラリザラリと数えては積み、数えては積んでいる物の音ですから、お絹が怪しみました。

誰かこの座敷で金勘定をしているな――しかしこれは解せない。解せないのみならず、あるべからざることで、日頃、金がほしい、金がほしいと口に出しているのを、憎い狐狸どもが知って調戯いに来たのか。

そう思うと、ゾッと気味が悪くなりました。

「お前様」

「はい」

「ちょっと様子を見て参りますから、これにお待ち下さいませ」

お絹は住職をとどめておいて、こわごわとその室に近寄って見ますと、暗い中で、まさしくザラリザラリと銭勘定の音。

「誰?」

お絹がとがめてみますと、

「私ですよ」

「え?」

「私でございます」

「何をしているのです」

「お銭の勘定をさせていただいているんでございますよ」

「お銭の勘定……人の家へ来て何だって、そんな無躾なことをなさるんです、いったいお前は誰です」