Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.722 Zeichen · 286 Bildschirme

Aozora Bunko

後家さんの肪ぎった面に、小さい銀色の粒が浮いて来ました。

「何ですって?」

竜之助は、わざと聞き耳を立てました。

「先生、あなたは人を殺したことがおありなさるでしょう」

「どうして、そんなことを聞くのです」

「でも……」

ちょうど、道が沼の岸を離れて林の中に入る時分に、後家婆さんは、後ろの方をそっと顧みて、

「それでも、人を殺してみないと、度胸が定まらないっていうじゃありませんか」

「そんなはずはあるまい、人を殺さなくても天性度胸のいい者はいい、臆気な奴が、かえって大事をしでかすこともあるものさ」

「それはそうでしょう。けれどいちど、人を殺すと、それから毒を食えば皿までという気になって、腹が出来るというじゃありませんか」

「そうか知ら」

「真剣ですよ、先生、わたしは、真剣で先生にお話し申しもし、先生からお聞き申しもしたいものですから、この通り、話しながらも動悸が高くなっているのですよ」

「そうかといって、おれは人を殺しました、と答える奴もあるまい」

「そうおっしゃられてしまえば、それまでですけれど、先生には、わたし、このことをお尋ねしてもいいと思っているから、それでお尋ねしているんですよ。