Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.722 Zeichen · 286 Bildschirme
行くにも、住まるにも、覆面を取らぬ女……その生涯にはかぎりなき陰影がなければならぬ。道はちがうが、われも多年人を求むる身だ。こう思って兵馬が、新しい感興に駆られた時に、
「あなた、もし、この刀の持主を御存じはありませぬか?」
といって不意に立ってお銀様が持ち出したのは、例の床の間の白鞘の一刀です。
宇津木兵馬はその刀を見て、こんな刀が、この寺にあったのかと疑いました。
行李をまとめていた手を休めて、お銀様の手からその刀を受取ると、多大の疑惑を以て、その刀を抜きにかかりました。
兵馬はまだ刀を見て、その作者を誰といいあてるほどの眼識はない。けれども、刀の利鈍と、品質はわかる。ことに一たび実用に用いた刀……露骨にいえば、最近において人を斬ったことのある刀は、一見してそれとわかる。到るところの社会で、血のりを自慢の刀をよく見せられていたものだから――
ところで、寺院には似げもない長物を、思いもかけぬ人の手で見せられて、鞘を払って見るといっそう驚目に価するのは、その刀が最近において、まさしく人を斬った覚えのある刀に相違ないと見たからです。
十分に拭いはかけたつもりだけれども、拭いが足りない。