Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.722 Zeichen · 286 Bildschirme
「あれは、お内儀さん、その、夢ですよ。その怖い夢を見たものですから、思わず知らず力がはいって、あんなことになりました。お詫びをして許していただいたじゃありませんか。もうあれっきり、あのことをおっしゃって下さらないはずじゃありませんか」
「いいよ、そう申しわけをしなくったって。ちっとも怖かないから……第一、お前に人を殺すだけの度胸がありゃ頼もしいさ」
「お内儀さん、それをおっしゃらないで下さい、私だって……」
「私だって、どうしたの」
浅吉がギュウギュウ問い詰められている時に、小屋の裏戸が鳴りました。
裏口の戸をガタピシとあけて、そこへ現われたのは、狩衣をつけて、藁はばき、藁靴を履いた、五十ばかりの神主体の男。金剛杖を柱に立てかけて、
「これはこれは」
おのれが留守中の来客を見て、挨拶の代りに、これはこれはといって、
「は、は、は、は……」
とさも陽気に笑いました。
「お帰りなさいまし、お留守中に失礼を致しました」
浅吉が申しわけをすると、
「なんの、なんの、そのままにしていらっしゃい。いやどうも、いいお天気で、は、は、は……」
と、いいお天気そのもののように、神主は明るく笑いました。