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Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.722 Zeichen · 286 Bildschirme

Aozora Bunko

「ええ、お邪魔になりゃしませんよ、話していらっしゃいな」

白雲は柄になく優しい声でお世辞をいいました。けれど相変らず模写に頭を取られているものですから、相手の誰なるやを考えているのではありません。

「どうも有難う……何を、そんなに勉強していらっしゃるの?」

幽霊のような裾を引いて、するすると入って来て、後ろから白雲の模写ぶりを覗きにかかりましたけれども、白雲はいっこう平気で、

「ここの主人から借り受けた仇十洲の回錦図巻があまり面白いから、こうして模写を試みているところですよ」

白雲は、やはり言葉はうわの空で、頭と、手と、目とが、図巻に向って燃えているのです。

「そんなによいのですか、その絵巻物が?」

「結構なものですよ、全く惚れ込んでしまいましたね」

「そうですか、そんなによいものなら、わたしにも見せて頂戴な」

といって無遠慮に図巻の上へ伸ばしたその手が、白魚のように細かったものですから、ここに初めて田山白雲は愕然としました。

「え」

そこで初めて振返って見ると、例のゾッとするほどの妙齢の美人です。

「あなたは何ですか」

「幽霊じゃありませんよ」

疑問を先方が答えてくれましたから、白雲ほどのものが度肝を抜かれました。