Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 159.272 Zeichen · 313 Bildschirme
ちょっとお待ち下さい。ここで筆を休ませようとしていると、下でなんだか騒々しい人の声が起りましたよ。
おや! あの声は、嘉七さんの声ではないか。
『今、離れ岩んとこで、こねえな女頭巾を拾って来たよ、見ておくんなさい、こりゃあ、あの高山の穀屋のお内儀さんの頭巾じゃあんめえか。縮緬だよ、安くねえ頭巾だよ……あんなところへ落しておいちゃあ、風で水の中へ吹ッ飛んでしまわあな。穀屋のお内儀さんはおいでなさらねえか、頭巾を拾って参りましたよ』
嘉七さんという人が離れ岩の傍で、女頭巾を拾って来たという。
頭巾はかまいませんが、わたしは、あの離れ岩がいやです。なんだって、お内儀さんは、あんなところへ行ったのでしょう。
『高山のお内儀さんは今朝出たまんま、まだ帰らねえよ』
これは、留さんという男の返事。
あのお内儀さんが今朝出たまま帰らない。そうして離れ岩の女頭巾。
弁信さん。
わたしの胸がまた早鐘のように鳴ります。行って確めて来ます。あの叔母さんまでが離れ岩の下の水藻に沈んでしまったのではないか。何だかそう思われてならない」
その翌日のお雪の手紙。
「弁信さん――
わたしの胸にハッと来たのは無理ではありませんでした。