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Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 159.272 Zeichen · 313 Bildschirme

Aozora Bunko

しかし、当人はいっこう気取った様子もなく、のこのこと歩いて、やがてお角とすれすれの所まで来まして、さて、これから、江戸のいずれの方面に向って歩みを移そうかと、ちょっと思案の体に見えました。

「モシ、あの、ちょっと失礼でございますが……」

と、その異様な人物に、まず物をいいかけたのはお角でありました。

「あ、何ですか?」

と蝙蝠傘の主は、あわただしく下界を見下ろすように身をかがめて返事をしますと、

「つかぬことを承るようでございますが、あなた様は房州の方からおいでになりましたのですか?」

「あ、房州から来ましたよ」

白雲は、この女の姿を見下ろして、それがよくわかったなと言わぬばかりの顔色です。

「房州は洲崎からおいでになりましたのでしょう」

「ええ、洲崎から来ましたが、それが、どうしてわかります」

白雲は、自分の蝙蝠傘にそれが記してあるのではないかとさえ疑いましたが、黒張りの傘に、無論そんな文字はありません。

「あの洲崎は駒井能登守様のお仕事場からおいでになりましたね」

「ど、どうして、そのことまで、お前さんにわかりますな」

「ホ、ホ、ホ……」

とお角が笑いました。田山白雲は、いささかどぎまぎして、