Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 74.962 Zeichen · 145 Bildschirme
「人は、いろんなことを言いますねえ。それは、広い世界とはかけ離れたこの谷々の間のことですから、風俗も、それぞれ変ったことがございましょうよ」
「でも、畜生谷なんて、いやな名前ですねえ、ほんとに」
と、お雪は慰めのような気分で、老人に向って言いかけたことほど、老人の不快な色を気の毒に思ったからです。気の毒に思ったといううちには、もしかして、この老人が、その世間の人の悪口に言われる畜生谷の部落の中の一人ではなかったか、ということに気が廻ったことほど、胸を打たれたものがありましたからです。
そこで、お雪は、もう再びこの老人の前で、そんな言葉を口にすまいという気になりました。その老人の前だけではなく、どんなところでも、人前でうっかり、畜生谷なんていう言葉を出すものではない、ついついそれに言葉がわたった自分というものの嗜みの浅いことを、一方ならず慙じもし、悔いもする心に責められました。
そこで、半ばはその思いをまぎらわすようにお雪は、
「それはそれとしまして、ねえおじいさん、わたしは今、誰が何と言いましても、その白川郷の中へ、落着きたい心持でいっぱいなのよ。人が世間並みに生きて行きたいというのは、義理人情にせまられるか、そうでなければ利慾心にからまれて、どうしても、そうしなければ生きて行かれないからなんでしょう、わたし