Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 74.962 Zeichen · 145 Bildschirme

Aozora Bunko

その晩、貴公子と兵馬とが碁を囲んでいるところへ、恐る恐る用人が、次の間から伺いを立てました、

「御清興中恐れ入りますが、ちとお願いの儀がござりまして……」

「何事じゃ」

「まことに恐れ入りまする儀ではござりますが、お聞届けの儀をひらにお願い仕りまするでございます」

「は、は、は、お願いの儀とか、お聞届けの儀とか言うて、その儀の本義を言わぬ先に、恐れ入ってばかりいてはわからない」

「実は、この家の主人が立戻って参りました儀で……」

「ナニ、この家の主人が戻って来たとな。それは不思議じゃ、この家の血統は死に絶えて、幽霊が出るなんぞというて、誰もすみてが無いというから、これほどの屋敷を惜しいものじゃ、そんなら、わしにくれと言うておいたのに、今になって主人が戻って来たとは奇怪な……」

白石を指頭にハサミながら、貴公子の挨拶が用人の頭の上を走ります。

「はッ、御不審御尤もでいらせられまする、実はその、当家の主人がかえって参りましたと申しましても、生きて戻ったわけではござりませぬ」

「ナニ、生きて戻ったのでなければ、死んで戻ったのか」

「はい」

「それはまた、死人がどうして、これへ戻ったのじゃ」