Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 74.962 Zeichen · 145 Bildschirme

Aozora Bunko

「へ、へ、へ」

弥兵衛老人は人相よく笑って、

「山奥へ行きますてえと、どこへ行っても、平家の落武者はいますねえ」

「でも、お前さんこそ、本当の落武者なのでしょう」

「やっぱり、先祖はね、そんな言いつたえもあります、珍しい遺物も、残っているにはいますがねえ」

「どこなんですか、お住居は」

「あの山の裏の谷です」

「え」

「そら、あの真白い、おごそかな山が、北の方に高く聳えておりましょう、御存じですかね、あれが加賀の白山でございますよ」

「まあ、あれが加賀の白山でしたか」

お雪はいま改めて、群山四囲のうち、北の方に当って、最も高く雪をかぶって、そそり立つ山を惚々と見ました。

「はい、あの白山の山の南の谷のところに、わしらは一族と共に、六百年以来住んでおりますでな」

「きまってますよ、平家の落人にきまってますよ、白川郷っていうんでしょう」

「はい、その白川郷の……」

「白川郷は、いいところですってね」

「え、いいところにも、悪いところにも、先祖以来、わしどもは、その白川郷から足を踏み出したことがございませんから、比較するにも、比較すべきものを持ちませんでな」

「自分が住んでいて、いいか、悪いか、わからないくらいのところが、本当にいいところなんでしょう。