Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 74.962 Zeichen · 145 Bildschirme
柱へ登ろうとして、辷ってまたのぼり、
「廻るわ、廻るわ、この家屋敷がグルグル廻る、廻り燈籠のように廻らあ、廻らあ」
と、天井を指しながら喚く者も起りました。
原因はわかりました、茸のせいです、毒のある茸のせいです。
もし、たった一人でもいいから、その茸を食わなかった者があるならば、早く走って医者のところへ行きなさい。
ところが、走り出そうとすれば、どっこいとつかまえられてしまいます。
深夜のことで、大きな構えですから、あたり近所からも急に走せつけて来る者はないようです。
行燈も、蝋燭も、線香も、メチャメチャです。畳を焦しただけで、消えてしまった蝋燭は幸い、座敷の一隅へころころと転がって行った鉄製の燭台に火のついたままのが、障子のところまでころがりついて、パッと燃えて、障子にうつったのは、ワザと火をつけに行ったようなものです。
障子の紙を伝って、天井へメラメラと火がのぼると、折悪しく、そこへ油単の包みが破れて、その紙片が長く氷柱のようにブラ下がっていたのを、火の手が、藤蔓にとりついた猿のように捉えると、火は鼠花火の如く面白く走って、棚の上なる油単の元包みそのものに到着してしまうと、暫く火の手だけは姿を隠したが、やがて夥しい煙の吹き出して来たのを、組んずほぐれつの座敷の者は、誰あって気がつきませんでした。