Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 74.962 Zeichen · 145 Bildschirme
ここは昔の城下町として、今の代官の所在地として、長い間のこの国の行政の中心地を成しているだけに、すべて、それ相応の都会としての気分が、しっくり整っている。
もしお雪ちゃんが、一度京都あたりを見て来た人であるならば、この宮川のほとりへ来て、鴨川を思い起さずにはおられないはず、そうして周囲の光景がなんとなく、山城の王城の地を想わせて、詩人でなくとも、これにまず「小京都」といった風情を感じ得られたかもしれません。
ただ、そんな比較を別にしても、久しく山谷の間にうずもれて来たお雪ちゃんは、ここへ来て、明媚という感じに打たれて、思わず気分に多少の暢びやかさを感じたのみならず、宿の自分たちの部屋が、ちょうど宮川にのぞんでいて、小さいながら行く水の面影に、人の世の情味を掬し、部屋も相当に綺麗だし、風呂場も気持よく出来ている間に、やや陶然たる気味をよび起されました。
風呂から出て、日暮の宮川のもやを眺めながら、燈の明るい座敷で、夕餉の膳に向った時などは、お雪ちゃんの心も春のようになって、今のさきまで、ついて廻ったイヤなおばさんの思い出などは、この瞬間に、すっかり忘れてしまうことのできたのは何より幸いです。