Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 74.962 Zeichen · 145 Bildschirme
人違いではないか。だが、子熊の米友を懐かしがり、じゃれつき、すりつき、くいつき、だきつく風情というものが、到底、親身でなければこうはいかない親しみがあり、いよいよこの男を面喰わせてしまいました。
三十三
そのうちに廊下で、人が騒ぎ出しました。
「熊の子がいない、熊が逃げ出した、それ大変だ」
廊下でバタバタして、しばらくあって、
「ああ、ここだ、ここだ、ここの障子が、こんなに破いてある」
「うむ、足あともそこで止まっている」
それがちょうど、米友の座敷。
「御免下さいまし」
「何だい」
「夜中にお騒がせして相済みません、もし熊の子が、これに参ってはおりますまいか」
「来ているよ」
と米友が答えたので、
「左様でございますか、お怪我はございませんでしたか」
「怪我なんぞはしやしねえ、ここ、ここにこんなにしていらあ」
障子をあけて人々がやって来ても、右の子熊は、それらの人々を避けるのでもなく、怖れ走るのでもなく、やっぱり一向に米友に向って、じゃれついて離れる模様はありません。
今や当惑しきっている米友。入って来た大勢の者は、手取り足取り、この子熊を捕えて、米友のところから引離そうとする。