Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 74.962 Zeichen · 145 Bildschirme
その気色を見て取ったのか、番頭のようなものが、こう言って申しわけをしました、
「実はその、お敷物の熊の皮は、この子供の親でございまして、それがふとした怪我で亡くなりましたものですから、その皮を剥がして置きますと、争われないことに、この小熊めが、母の皮をよく知っておりまして、これが無いと眠れませんものでございますから、宵のうちも、これを檻の中へ入れてやろうと存じましたが、あなた様がこの上によっくおよっておいでになりますから、お起し申すもなんで、つい、そのままに致して置きましたらこの通り、檻を破って這い出し、母親の敷皮を慕ってまいりまして、あなた様に飛んだ御迷惑をかけましたような次第で……こちらへお夜具をのべさせて置きましたから、どうぞ、あれへ――その敷皮はひとつ、この子熊めに、お遣わし下さいませ」
「なあーんだ」
米友がここでもまた、呆気に取られてしまいました。自分になついて来たと思ったのは、飛んだお門違いの己惚――問題は熊の皮だ。
だが、死せる親の皮を慕うて忘れざる子熊の情愛に至って、おのずから考えさせられずにはおられないものがあるようです。
三十四