Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 86.467 Zeichen · 168 Bildschirme
イヤ、土葬にしなくても、いやにこの辺がじめじめしてきた、イヤにべとべとした泥が手につきやがらあ、いい気持はしねえなあ」
こんなことをつぶやきながら、もしや金の指はめでも、もしも銀の髪飾りでも、もしや珊瑚樹の焼残りでも――当節は貴金属がばかに値がいい、江戸の芝浦で、焼あとのゴミをあさって大物をせせり出して夜逃げをしてしまった貧乏人があったそうだが、成金になって夜逃げもおかしいが、この不景気に大金を手に入れた日にゃあ、夜逃げでもしなくちゃあ――仲間に食い倒されてしまう、としきりにひとり言を言い、広くもあらぬ屍体の焼かれあとを一心不乱にせせり散らしている。
「イイ気持はしねえ、どうもイヤな気持になったなあ、穀屋の後家様、お前はしてえ三昧をして死んだんだからいいようなものの、その焼跡をせせくっている、この紙屑屋の清次なんぞは、してえことをしたくってもできねえんですぜ、イヤな気持になったよ、穀屋の淫乱後家さん……」
のろま清次が、うわずったたわごとを吐きながら、地面をせせくっていると、
「わっ! 貴様、そこに何しとる」
お国なまりの大喝。
「へッ!」
のろま清次は腰を抜かしてしまいました。