Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 86.467 Zeichen · 168 Bildschirme
福松はこう言いながら、吸附煙草をがんりきにあてがう。
この野郎、もう僅かの間に、このぽっとり者へ渡りをつけてしまったものと見える。ぽっとり者の方でも、この高山の土臭いのや、郡代官のギコチないのより、口当りだけでも、きっぷのいい江戸ッ子気取りの兄さんを用いてみたい心意気があったものと見える。
がんりきは、抱え込んで来た小箱の包みを下へ置いて、長煙管を輪に吹いていると、芸妓の福松が頬っぺたを兄さんにくっつけるようにして、
「兄さん、もう疑いが晴れたから、許してあげよう、今晩からここへお泊りな」
「う、ふ、ふ、何かお前に許していただくような悪いことをした覚えがあるかねえ」
「大ありさ。だが、少し罪が軽くなったというまでのことで、まだ無罪放免というわけじゃないんだから、ここへ泊めて上げるには上げるが、ひとりで出歩きはなりませんよ」
「おや、何とか言ったね――どうやらおいらは兇状持ちででもあるかなんぞに、お前という人からイヤ味を言われるのは、きざだけじゃすまされねえぜ」
「そういうわけではないんですよ、わたしは皮肉に出ているわけでもないのですが、御縁だから兄さんを大事にして上げたいとこう思っている親切気から、そう言ってあげるのだわ。