Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 86.467 Zeichen · 168 Bildschirme
「何なの、いったいそれは――」
福松が覗き込むのを、がんりきは取りすまして、
「こりゃ、その、何さ、おいらが特別にあのお蘭さんからのお預りの一品さ。まあ、どうしてこちらがあのお蘭さんから特別のお預りを持たされるようになったかってえことは聞かないでおくれ、とにかく、あのお蘭さんから、この兄さんが特別に頼まれた一品をお預り申していると思召せ、それがこの箱なんだ。ところで、この玉手箱の中身を、ほかならぬお前のことだから、見せてあげようという心意気だ、そうれ、よくごらん」
と言って、結び目を解き終ったがんりきが、怪訝と呆れをもって見つめている福松の鼻先で、包みの中から出た蒔絵の箱の蓋を取って、いきなり掴み出したのが金包であります。
「そうら、百両包みが三つ――都合三百両、これがお蘭さんの当座のお小遣さ。ほかにそら、持薬が二三品と、枕本、手紙、書附――印籠、手形といったようなもの」
「おや、おや」
「どうだ、こういうものをお蘭さんが人手に預けっ放しにして置いて、駈落というはおかしなもんじゃねえか、色男と手に手を取って逃げようとでもいう寸法なら、さし当り、この一箱をその色男の手に渡して置かなけりゃ嘘だ、昔から色男になる奴は、金と力が無いものに相場がきまっている、そいつがお前、お蘭さんのつれて逃げたという色男の手に入らねえで、