Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 86.467 Zeichen · 168 Bildschirme

Aozora Bunko

だ。

それだけのことなら、こっちにとっては朝飯前と言いたいが、夜食の腹ごなしに、持って来いの前芸だ――今夜は一番、それをやっつけよう。

七兵衛としては、この際、別段に路用に困っているという次第ではなし、人の急を救うために危うきを冒さねばならぬ義理合いがあるというわけでもなく、ただ閑々地にいて、つい不善を心がけるという心理からではないにしても、持った病の虫が、むらむらと頭をもたげたのは情けないことと言わねばなりません。もともとこの男は、慾で盗みをするより、手癖でする、好奇でする、興味でする。本能が、つい心と手とを一緒にそっちへ向けて、曲げてしまうことが多い。

前に、芸者のあだ姿を見て、そぞろ心を動かしてみたが、今は、そのがらにない要らざる遊興心が、すっかり吹っ飛んでしまい、今お城を見て動き出した本能心だけは、どうしても分別と反省が無い、のみならず、ムラムラといっそう昂上するばかりで、久しく試みなかった腕が鳴り――なあに、江戸の本丸、西の丸へでさえも御免を蒙れるほどのおれが、奥州仙台六十八万石が何だ――

という慢心を、もはや如何ともすることができませんでした。