Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 86.467 Zeichen · 168 Bildschirme
追いついてさえしまえば、ここでお雪ちゃんが、弁信を手放してしまうはずはないにきまっております。
二十三
それから暫く経つと、宮川の岸の人通りの淋しい土手の上を、極めて物静かに肩を並べて歩いているお雪ちゃんと弁信とを見ることができました。
「よくわかりました、弁信さんのおっしゃることが、すっかり呑込めてしまいましたから御安心ください……わたしも、こうして、あなたを追いかけて来たのは、この辺でゆっくりとわたしからお話をしたいことがあったからなのです、あの寺ではくわしいお話のできない事情がありましたものですから」
「左様でございましたか」
「弁信さん、ほんとうにわたしは、物語にも書けないほど奇妙な縁に引かされて、きわどいところに身を置かされており、どちらにも同情を持たなければならないのに、そのどちらもが敵同士とは、因果なことではありませんか」
「そうでございますね」
「昨日までは、わたしはあの人のために、身を捧げて介抱をしておりましたが、今日はそれを敵と覘う人の情けを受けて、知らず識らず生活を共にしてしまっているのです、そうしてわたしは、どちらも憎めないばかりでなく、弁信さんだから申しますが、わたしはどちらをも愛しているのです、どちらもわたしは好きな人で、どちらをも憎めないでいます」