Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 254.021 Zeichen · 495 Bildschirme
そうに、突立ったままで、ずっと闇を透かして、この幼な児の人生の笑いを見つめていました。
こんな緩慢な挙動は、断じて人の親の挙動ではない。
第三者が偶然に、何か驚訝すべき事件を路傍に認めて、ふと足を止めた挙動に過ぎない。わざと芝居をして見せるのでない限り、母たるものがこんな思わせぶりを、この際わが子に向って為すべきはずがない。
そんなことには頓着なく、この子はほほ笑みをつづけておりました。
他目には、母親でなければならぬと想像されるところの女の人を傍らに置きながら、母よと呼ぶのでもなければ、乳をとせがむのでもない。相変らず天空の爛々たる星を仰いで、ひとり笑いに笑っている。
二つながら何という水臭い親子か――血を引いたものならば、髑髏へでも血が染まるというのに、ここで当面相対しながら、親であると見るべき女は、路傍の人の如く闇中にわが子を見、子であると見るべき一方は、それを見向きもせずに天空に向って笑っている。
母としては奇怪千万の母ではないか、子としても無情冷酷なる子ではないか。
しかも、奇怪と、無情とは、これに留まりませんでした。
星を見て、冷やかに笑うみどり児をよそにして、この母親と見ゆる奇怪なる女性は、他の物をがっちりと抱き締めました。