Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 254.021 Zeichen · 495 Bildschirme
「ひーひーひー」
あ、あ、あ、というのが、ひー、ひー、ひーと聞える。
必死に悶えている。必死に反抗している。しかし、それは何でもない、蛙も蛇に呑まれる前には相当反抗する。ただ絶叫と悲鳴との限りを尽して抵抗するのと、声をあげる機関を妨げられての上で暴行を加えられるのとの相違があるまでで、その極力必死の抵抗だけは同じことなのですが、
「く、くるしい! うーん」
やっと、これだけの声が女の口から出ました。あとは烈しいうめきです。
抉られている――それは胸か、腹か、腸か知らないが、両刃の剣をもって抉られた瞬間でなければ出ない声だと思われる、大地を動かす呻きでした。
「く!」
断末魔の身動きをするらしい。
ずっと昔のこと、甲州の八幡村で、新作さんという若衆の許婚の娘が、水車小屋から帰る時、かような苦叫をあげたことがある――最近には……
六十
「玄関の松」の裏で、女の虫の息が糸を引いて全く微かに消え去った時分に、例のおさな児の傍に、全く別の人影がありました。あくまでおとなしい児はおとなしい児で、あのとき泣き出したが、ここでまた泣きやんでいました。
その籠の傍に、今度は全く別な人影が一つ立っている。