Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 254.021 Zeichen · 495 Bildschirme
「恐れ入りますが、御殿を拝見させていただきたい」
おりから、近き日数のうちに行わるべき秋季の法要と、宝物展看の準備のために忙がしかった寺役は、極めて寛大に、
「どうぞ、ゆるゆる御自由にごらんくださいませ」
拝観料何程と徴収もしない代り、特に誰かが附添って、説明と監視とに当るという設備もなく、その身そのままで、自由なる室内の拝観を許されたのでした。
そこで、覆面の客は少女を後に従えて、ずっと玄関を通ってしまって、ゆるゆると内部の見学にとりかかったのだが、それにしてもこの女客は、堂内へ入ってすらもその覆面を取ることをしませんでした。覆面をしたままで、堂内を隈なく見学にとりかかりましたのです。
寺の人が誰も附添わないし、またどこにも看視の人が附いていないとは言いながら、この態度は甚だ不作法のものと言わなければならない。普通の人間の住居へ入ってさえ、人は被りものを取るのを礼儀とする。霊場として人のあがむる屋内で、仮りにも頭巾のままの通行は許し難いものがある。まして女のことです。女も躾の悪い、物を知らない女ではなく、見たところでは、服装と言い、人品と言い、立派に教養の備わっている婦人でなければならない身が、こうして覆面のままで堂内室内を見て歩くということは、どちらから言っても不作法千万と言わなければならぬ。