Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 254.021 Zeichen · 495 Bildschirme

Aozora Bunko

そこで与八も、どのみち末始終は旅に出づべき運命の身だと心得ているから、いつかお婆さんの故郷、信濃の国の飯田へ行ってみようという気にだけはなりました。

いざ出立という時に、与八は、

「わしも今日は竜王まで、ちょっくら用事があるから、一緒にお送り申しましょう」

かくて与八は、またも郁太郎を背負い、お婆さんと道づれになって、ある程度までお婆さんを見送りながら、自分は自分の用足しをして帰ろうという門出です。

お婆さんは、自分のかぶっていた菅笠を、与八のためにと言って残した。その笠には、富士のお山のおしるしもあれば、お婆さんの故郷、信州飯田――池田町――松下千代と書いてある。

それをお婆さんの記念として受け納めた与八は、別に新しい笠を換えてお婆さんに贈り、そうして二人は、この教場を立ち出でました。天気が良くて、釜無川の沿岸から八ヶ岳の連峰が行手に聳えている。与八は歩きながら、お千代婆さんに向って述懐を試みる。

「うちの大旦那様が、今、上方へ向けて旅をしておいでなさる、上方見物という名代だが、本当はたった一人の娘さんのことが心配になるのでしょう。その娘さんというのは、きかない気のお嬢様で、お父さんの大旦那ももてあまして、お嬢さまのなさるように好き自由にさせてお置きなさる。