Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 254.021 Zeichen · 495 Bildschirme
主膳は立って荒々しく押入や戸棚をあけて見たけれども、この興奮に応ずる何ものもない。
そこでまた、机の前に坐り直したけれども、どん底からこみ上げて来る本能力をどうすることもできない。三ツの眼が烈しい渇きを訴えて、乳を呑みたがる、真白い乳を呑みたがる。咽喉の方は咽喉の方で鳴り出して、酒を求めて怒号しているのに、眼は乳を呑みたがっている。
当るを幸い――主膳は机の上の硯をとって、発止と唐紙へ向って投げつけました。硯の中には宿墨がまだ残っていた――唐紙と、畳に、淋漓として墨痕が飛ぶ。
九十九
「いや、これは驚きやした、これはまことにおそれやす――屋鳴震動」
と変な声を出して、いま神尾主膳が硯を投げ飛ばしたその間から、抜からぬ面を突き出したのは、例によって、のだいこのような鐚助(本名金助)という男で、こいつが今日はまた一段と気取って、縮緬のしきせ羽織をゾロリと肩すべりに着込んで、神尾の居間へぬっぺりと面を突き出したものです。
「鐚助か」
「殿様、いったい何とあそばしたのでげす、我々共がちょっと目をはなしますてえと、これだからおそれやす」
「鐚助、いいところへ来た、今日は朝からむしゃくしゃしてたまらないところだ、面をだせ、もっとこっちへ面をだせ」