Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 254.021 Zeichen · 495 Bildschirme
さらわれたってかまわないようなものだが、その尻拭いがまたこっちへ報って来るのだ。今度はひとつ、女の言いなりになって見せる。それが修行だ。
百十九
兵馬が柱にもたれて、うつらうつらしていると、外で夢路をたどるように人の叫び声がある。
「宇津木、宇津木」
「はっ」
と兵馬は我に返ったが、どうも気のせいか、その声が、仏頂寺弥助の声のように思われてならないから、
「誰だ」
「おれだよ」
「誰だ」
兵馬はもう一度、念のために耳を傾け直すと、
「おれだよ」
「誰だ」
「声でわかりそうなものじゃないか、仏頂寺だよ」
「やあ、仏頂寺君か」
「まあ、いいよ、そうしておれよ」
戸の外からしきりに声をかける仏頂寺の言葉つきは、存外、落着いたものでありました。そうして、たしかに仏頂寺の声に相違ないと、兵馬の耳にはとおるのです。
「君は――君は」
と兵馬が少し気色ばんで吃ると、外から仏頂寺の声で、
「そう驚かんでもいいよ、小鳥峠の上で立派に腹を切った拙者が、こうして、うろついて来たから、君は狼狽しているだろう、あわてるな、あわてるな」
「あわてはしないけれども、君はどうしてここまで来たのだ」