Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 254.021 Zeichen · 495 Bildschirme

Aozora Bunko

も一つの本望であるが、お前は縁あってわたしの家に使われたとは言いながら、譜代の家来というわけではなし、まだ若い身空だから、いくらでもよそへ行って立身出世の道はある、そうしたからとて、誰もお前に非をうつものはないけれど、わたしはそうはゆかない、わたしに代って敵を討つ身寄りがない限り、わたしというものはこうしなければ、家中へ面向けがなりませぬ。ここをそちに聞きわけてもらいたいが、それほどに言われる志はうれしい。では、その覚悟で、わたしに附添うて下さい――頼みます」

「有難うございます、一生の願いをお聞き入れ下されて、こんな嬉しいことはござりませぬ」

そこで、主従が勇ましく敵討の旅に立ち出でました。

奥様にとっては、むろん夫の敵――下郎にとっては主人の仇、名分も立派だし、ことに主家の落ち目を見捨てない下郎の志は一藩中の賞めものでした。

百二十八

旅へ出てからも、もとよりあり余る路用があるというわけではありませんから、主従は極めてつつましやかな旅をいたしました。

この間、若党の奥様に仕えることの忠実さ、道中は危ないところへ近寄らせないように、時刻もよく見計らって、宿へ着いての身の廻りからなにから、痒いところへ手の届く親切ですから、奥様としては、全く不自由な旅へ出たとは思われないくらいの重宝さでした