Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 254.021 Zeichen · 495 Bildschirme
但しその道庵先生でないことは、頭が慈姑でなく、正雪まがいの惣髪になっている。道庵先生よりもう少し色が黒く――皮肉なところは似ているが、あれよりまた少々下品になっている。それに酔っていることは確かだが、道庵先生のは酒に酔っている、この男は酒よりも、いささか自己陶酔にのぼせ加減で、うわずっている――これぞ誰あろう、一名四谷とんびという一味の通人でありました。
四谷とんび、略称してよたとんともいう。道庵の向うを張って、その上方征伐に相当るべく選ばれた江戸ッ児の一人でありました。いつのまにここへ登っていたか、或いは三人が来る以前に、その岩蔭で昼寝でもしていたのか、とにかく、三人が意気込んで、右のところまで談論を続けて来た時分に、突然、途方もなく締りのない声でゲラゲラゲラと笑い出したものです。
「お前さんたち、買いかぶっているよ、イヤに近藤勇を買いかぶっておいでなさる」
こう言って、自惚の強い赤ら面をかがやかせて、のこのこと近づいて来るものですから、こいつ一応の挨拶もなく、突然に横合から人の談論にケチをつけ出す、無作法千万な奴だ、失敬千万な奴だ、と三人の壮士は甚だ不興の体でしたけれども、見れば相当老人でもあり、のぼせ者でもあるらしい。