Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 254.021 Zeichen · 495 Bildschirme

Aozora Bunko

一種異様な物音といっても、神経を衝動させるような物音ではないが、思いがけない物音には相違ない、玄関のところで、かなり高らかな鼾の音がするのです。誰かここへ来て寝込んでいる。近づいてのぞき込んで見ると、見慣れない一人の老人が、いい気持になって、玄関の式台に寝込んでいる。その人品風采を篤と見定めて、

「お医者さんだな」

本来、お医者さんだの、坊さんだのというものの姿は、そんなに人を気味悪がらせるものでないが、さて、この辺にはあまり見かけないお医者さんだが、何の用で、こんなところへさまよい込んだのか、この近所の病家先へでも来て戸惑いをしたのか、それとも、途中、医者の不養生で急病を起し、医者を救うべき医者がないために、ひとり苦しんでいるのかと思えばその鼾は至極泰平であって、苦痛だの、屈託の色なんぞも見えないし、いささか――ではない、かなり多分の酒気を帯びているところを見ると、これはてっきり病家先で、全快祝いかなにかに呼ばれて、いい心持に食い酔って、戸惑いをして、ここへ転げ込んで寝込んでしまったものだ、天下は泰平だわい、と青嵐も感心はしたが、このままでさし置くわけにはゆかない。