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Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 254.021 Zeichen · 495 Bildschirme

Aozora Bunko

マドロスは生国の知れぬ外国からの漂着者であり、兵部の娘は素姓正しいものですけれども、いささか精神に異常を呈し、肉体に不検束を持っている女であります。この二人が最近、無名丸から脱走したのを取押えんことも、田山白雲の北上の一つの目的でありましたが、他のもう一つは、仙台城内の秘宝を覘って、九分九厘のところで失敗した裏宿の七兵衛という、足のはやい不思議な怪賊の行方をたずねんがためでありました。

それから、もう一つは、本業たる画師としての画嚢を満たさんがために、未だ見ざる名山大川に触れてみようというのと、持って生れた漂泊性を飽満せしめようとの本能もありました。

そうして、ゆくりなく、この渡頭に立って見ると、たずねるところのマドロスが、遠眼鏡の視野の中に完全に落ち来ったものですから、いずれにしても、この向う岸を距ること程遠からぬ地点に潜在しているのだ。だが、茫漠たる地形であってみると、これは白昼に草の根を分け探すよりも、むしろ夜間を選んだ方がいい、というのは、火食を知って以来、人類の生活には火が附いて廻る。内部に向って食物を送るためにも、外部よりして体温を摂取するためにも、光を起して自ら明らかにし、他の暗黒を救うためにも、火は人生の必須であって、人生すなわち火なりという哲学も成り立つ。