Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 30.484 Zeichen · 60 Bildschirme

Aozora Bunko

お角さんがお手水場を志して、なにげなく縁側をめぐって、秋蘭の植えてあるお手水場のところへやって来て、開き戸を手軽くあけて、厠草履をつっかけて、内扉へ手をかけて、それを何気なく引いて開く途端――

「おや――」

お角さんほどの女が、ここでまた一種異様な叫びを立てて立ちすくんだのが、不思議千万でした。

十

便所の内扉を開いたままで、お角さんが、「おや」と言って、異様な叫びを立てて立ちすくんだも道理、その便所の中には、先客があって、悠々としゃがみ込んで用を足している最中であったからです。

「無作法千万な!」

誰でもこう思わなければなりません。このお手水場は、お角さんの座敷に専用のお手水場になっている。そこへ、余人が入っていようとは思いもしなかった。且つまた、誰か臨時に借用したにしたところが、用を足しているならばいるように、内鍵というものもあるし、それが利かないとすれば、咳払いぐらいはしてもよかろうもの、それが作法じゃないか。わたしがここへ来た廊下の足音でもわかりそうなものじゃないか。開き戸をあけた音でも気取れそうなもの。それを内扉をあけるまで、すまし込んでいて、人に恥をかかせるのはともかく、自分もこんなところを見られていい図じゃあるまい、間抜けめ! とお角が腹が立って、出て来たら横っ面を食わしてやり