Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 178.374 Zeichen · 345 Bildschirme
岸につきましたが、中には主がござりませぬ、遺書のようなものもござりませなんだ。舟が漂いついたので、こっちではじめて騒ぎまして、いろいろたずねてみましたが、さっぱり当りがつきません、なんしろ竹生島の方に参りますると、金輪際まで突通しの水の深さ、周囲を申しますと日本一の大湖でございますから、手のつけようもございませんでしたが、二人はとうに腹を合わせて心中の覚悟が出来ていたんでございますな、毛氈も、お重も、酒器も、盤も、宿からの品は一品も失いません、二人の身体だけが、水に沈んでしまいましたげな。お歳が少し違い過ぎて、男の方が上過ぎたのに、女子がまだ娘ざかりでございました、かわいそうに、そそのかされたわけではござんすまい、心を一つにした相対死に相違ござんすまいが、今様お半長右衛門だなんて、悪口を言っていたものがありました。ですが男の方は町人ではございません、苦み走った、芝居ですると定九郎といったような人相で、あれよりずっと痩せた人柄、病み上りのように蒼白い、なんでも人の言うところによると、眼が不自由であったと申しますが、どんなものでござんすか」
そこまで聞けば、もう充分以上のものではあるが、兵馬は、ただただ不安で、聞き済ましてはいられない。