Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 178.374 Zeichen · 345 Bildschirme
「無明道人俗名机竜之助之墓」
それは湖畔の木標ではなく、まだ切立ての一基の石塔であります。一方を見ると、同じような石塔が比翼の形に並んで、それに、
「同行淡雪未開信女之墓」
とある。
この二つの石塔が、どことは知らぬ荒草離々たる裾野の中に、まだ石鑿のあとあざやかに並んでいる。近づいて見ると、その後ろに墓守が二人、しきりに穴掘りをしている。傍らには布で巻いた二個の棺を据えて、しきりに墓穴を掘っている。それを覗き込もうとすると、墓と墓との間の丈なす尾花苅萱の間から、一人の女性が現われて、その覆面の中から、凄い目をして、吃と兵馬を睨みつけて、
「ここへ来てはいけません、あなた方の来るところではありません」
その睨む眼の険しいこと、兵馬は、たしかに胆吹山の女賊の張本に相違ないと思いました。
夢うつつは、その程度、それ以上、深刻にも精細にもなりませんでしたけれども、醒めた宇津木兵馬は、怖ろしいよりも、その暗示性の容易ならぬことに心が乱れました。
かくて、いったん、破れた夢が、またあけ方まで無事に結び直されましたが、日の光、鶏の声が戸の隙から洩るるを見て、兵馬は立って、一枚の雨戸を繰ると、満山の雪と見たのは僻目、白いというよりは痛いほどの月の光で、まだあけたのではありません。