Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 178.374 Zeichen · 345 Bildschirme
これ以外、別段、野菜の附合せ物を入れたりするわけでもなし、砂糖、醤油、味噌、割下といったような調味料は、いささかも加入されないが、肉そのものは、骨ごとよく煮上っている。竜之助を、あっ! と言わしめた瞬間、また以前に変らぬ老婆の声があって、
「いかがでございます、よく煮えました、あなた様も、一片召上れ」
いったい、ドコで物を言うのかと、見えないはずの眼をみはって、そこらを見廻すと、婆さん、以前と同じような澄ました面で、釜前に火をくべていて、片手には大串を持って、それで釜の中の肉を突きさしては頻りに食べている。
「一片召上ってごらんなさいませ、とても若い肉のように肥え太ってあぶらみはございませんが、噛みしめると、少しは味も出て参ります、一ついかが」
と言って、釜の中へまたも大串を突込んで、一片の肉をつつき出して竜之助の手に持たせつつ、自分はほかの串へさしては食い、食ってはさし、その貪り食うこと、全く餓鬼そのものの形相であります。老婆から授けられた一本の串を、さすがの竜之助も食い兼ねて、持扱っている間に、飢えたる老婆は早くも一釜の肉を平げてしまいました。
それと同時に、大釜の下に焚かれた焚火も、ばったりと消えてしまいますと、すっくと立ち上った老婆の腹は、脹満のように膨れ上っておりましたが、