Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 178.374 Zeichen · 345 Bildschirme
と米友が言いました。
「おあいにくさま、いやはや」
と、けったいな男は苦笑いをしたが、それで思い止まるとは見えない、ニヤリニヤリと笑いながら、米友の前におっかぶさるような姿勢になって、
「そんなお愛嬌のねえことを言わねえもんだ、やびなよ、やびなよ」
「やばねえよ」
「やびなよ」
「やばねえてばなあ、しつこい野郎だなあ」
ここで、やべとやばぬの押問答になりましたが、やべというのは「歩め」或いは「歩べ」という急調な訛でありまして、ところにより、俗によって使用されるが、必ずしもこの辺の方言とは思われない。ただ、やびなよ、やびなよ、と言うのは、先方の希望であり、懇願でなければならないし、やぶと、やばぬとは、こっちの勝手であり、権能でありますから、断じてそれを強要すべきではありません。しかるに、このけったいな男は、懇願と強要との区別がつかないらしいから、米友は改めて、このけったいな男の面を見上げてうんと睨みつけたが、そのとき気がつくと、このけったいな男は、肩にしこたま背負いものを背負っている。袋入りの米ならば五升も入りそうなのに、米ではなくて米より重いもの、袋の角の突っぱりでもわかる、この中には銭という人気物がしこたまつめてある。