Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 178.374 Zeichen · 345 Bildschirme
駒井は、お松の才能を見て、得難き人を与えられたることを心ひそかに感謝している。この娘には万事を任せて間違いがないと信じていることは、いつも変らない。異常なる興味と、熱心と、忠実とを以て、自分の身のまわり一切の処理をしてくれる、その勉強ぶりをじっと見ている駒井の眼に、いつか涙のにじむことさえある。
「ああ、この子も娘ざかりなのに、考えてみれば自分は、この娘の未来を無視しているのではないか、自分は自分で趣味に生き、理想に生きて行くのだから、どんな山海万里の涯に果てようとも厭うところはないが、考えてみると、それだけの趣味も理想も持たぬ人たちを、強いてこっちの趣味と、理想に引張り込んで、世間並みの希望と快楽を、すべて奪ってしまうにひとしいことになりはしないか、ことに娘ざかりのこの子たちを、今はこうして、自分というものに引きずられて、無我に働いてくれるようなものの、いつか眼がさめて、幻滅の悲しみに泣かすことはないか、眼がさめた時は、もう盛りが過ぎた時で、女の一生が色のあせたものになってしまって、一生を老嬢の淋しさに泣かすようになった日には、その罪は誰が負う、本来ならば、年頃になったような娘は、早くしかるべき相手を求めて、とにかく一人前に納めてやることが先輩の義務であろうのに、自分はただいい秘書を求め、助手を求め当て