Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 178.374 Zeichen · 345 Bildschirme
たことだけに満足していて、それで済むか、今の忠実を見るにつけ、後の心配をしてやるべき責任は自分にあるが、こうなってみると、世間並みの家庭に納めて、世間並みの肩身を広くさせてやることができない、体よく、こちらの犠牲として一生を廃らせてしまうことになるのだ、その点は気の毒に堪えない」
駒井は、お松の仕事ぶりを見ながら、つくづくそれを感じて、つい、深い感慨に陥ってといきをつくことさえある。今日も、朝のうちから、皆の者は開墾に出て、駒井は研究室で、地図と海図をひろげて調べている、その机の一方で、一心に記録をうつしているお松を、横からながめて、またも、うっとりとその感謝と、悔恨に似た心で満たされて、思わずホッと息をついた時に、ペンを置いて、インキの壺を満たしかかったお松の眼とぴったり合いました。
駒井もハッとしましたが、お松も思わず胸を轟かせました。
地図を見つめて研究に耽っておいでになるとばっかり信じきっていた主人が、今までじっとわたしの方を見つめておいでになった。しかも、その眼の中には、解釈のできない深い思いが籠っていて、ただ研究に疲れたお眼をそらすために、あらぬ方を向いておいでになったものとは思われない。