Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 104.838 Zeichen · 204 Bildschirme
白雲が、ぎょっとして後ろを向くと、いつのまにか背後に歩いて来ているのは、それは、確かに、いま、ついそこの柳の下で蛇籠を編んでいた老人に相違ないと直覚しました。だが、かぶっている笠をとりもしないで、鉈を腰にさしながら、小腰をかがめている人体は、思ったほど老人ではありません。
「お前は誰だ」
「田山先生でいらっしゃいますか」
「わしは田山だが、お前さんは?」
「ああ、それで安心を致しました、私は近頃、駒井の殿様の御家来分になった田舎老爺めにございまして」
「駒井殿の……」
改めて、白雲が、その老爺の面を見直しました。面を見直すまでもなく、それはもう言葉でわかっている。この辺では聞き慣れない関東弁ですから、耳を疑う余地はありませんが、そんならばこの老爺が、駒井甚三郎の家来分だというこの老爺が、なんのために、こうして、こんな奥州の名取川の岸で、悠々閑々と蛇籠なぞを編んでいるのだ。
白雲は、油断のならない眼をもって、この老爺の面を見ていると、老爺は存外、落着いたもので、
「田山先生、何はともあれ、申し上げなければならないことは、駒井の殿様は、あなた様の御出立中に、洲崎をお出ましになってしまいました。