Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 104.838 Zeichen · 204 Bildschirme
話に、あんまり身が入り過ぎて、他の多くのかんじんなことを、すっかり忘れ去ってしまっていたことに、我ながら苦笑いをしました。
そのうちの最初として、今晩たずねて来る口約束になっていた、あの名取川の蛇籠作りの変な老爺――こっちは話に夢中で忘れてしまってはいたが、先方は、自分から念を押して今夜はかならずやって来るとあれほど言っていたのにまだ訪ねて来た様子はなし――責めは先方にあるのだ、と独文句を言ってみたりしました。
八
まあしかし、明日という日もあるし、何とか沙汰があるだろう――と白雲は、タカを括って、その美しい夜具に身をうずめると、まもなく夢路の人となりました。
旅の疲れと、夜更しとで、かなりの熟睡に落ち込んで行ったはずの白雲が、夜中にふと眼をさましたものです。夜中とはいうけれども、寝に就いた時が、もう暁間近になっていたかも知れません。
ふと、眼がさめた途端、まず鶏の啼く声が耳に流れこむと一緒に、有明をつけて置いた朱塗の美しい行燈がぼんやりと――そうして、その行燈の下にうずくまっている怪しいものが一つ――睡眼に触れると、さすがの白雲がハッと身を起して、枕許の刀をとろうとしたのです。