Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 104.838 Zeichen · 204 Bildschirme
「そうですか」
「わかったか」
「わかりました。さあ、ムク、おいで」
心得顔にムク犬を促し立てて、白雲に教えられた通りを茂太郎が歩み出そうとすると、ムク犬はこの時、臥竜梅の下へ行って、桶屋さんの仕事ぶりをすまし込んでながめているところです。
「ムク――」
呼ばれても、ちょっと動きそうにもありません。
「ムク、何を見ているの」
そこで、茂太郎も、ついのぞき込んで見ると、桶屋のおやじが、長い竹を裂いて、その尾を左右に揺動させながらハメ込む手際を面白いと見ないわけにはゆきません。
ムクを呼び立てた自分が自分に引かされて、両箇が轡を揃えて桶屋さんの前に突立っている。この桶屋さんの箍捌きのどこがそんなに気に入ったのか、茂公と、ムクとは、一心こめて手元に見入ったまま動こうとはしません。
田山白雲は、そこでまた写生帖の筆を進めて梅をうつしにかかりました。
「坊ちゃんは、どちらからおいでなさいました」
不意に、気のいい桶屋さんからたずねられて、茂太郎は、
「お船から」
「お船はどちらから?」
「房州の洲崎というところから」
「ほうほう、それは遠いところですね」
「遠いよ」
「そのお船は、今どこについておいでなさいやす」