Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠10
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠10 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 285.635 Zeichen · 558 Bildschirme
わたしは、まだまだこれから山々の歌をつくりたいと思っていますが、歌を作るのは、手紙を書くのよりも時間がかかります。
わたしは、この手紙を書くのと、歌を作るのとの興味に駈られて、この二三日というものは、炉辺の皆さんの学問にも、お話の席にも、顔出しをしませんものですから、みんな変に思っているかも知れません。
そういうと何ですけれども、わたしは、これでも歌を作ることに見込みがあるんですって。池田先生が、お世辞ではないと、大へんにほめて下すったものですから、このごろは、筆をとって歌を思い、手紙を書こうとすると、ほんとうに夢中になってわれを忘れてしまいます――
静かな温泉にいて、山を見たり、水をながめたり、そうして、ひまがあれば歌や、手紙を書いているわたしのただいまの生活を、あなたは羨ましいと思う……それは違います。
わたしは苦しいのです、いわば苦しまぎれです。夜になると、わたしは夢の中で――さいなまれ、いじめられ、弄ばれ、――ああ、それは言いますまい、思い出すさえ浅ましい。
弁信さん――
今日も、わたし、あの離れ岩の上に立って、じっと無名沼の水を見つめておりました。