Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠10

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠10 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 285.635 Zeichen · 558 Bildschirme

Aozora Bunko

こんなところにいると、死にたくなりますから、こっちへおいでなさい』

といって神主様は、わたしの手を取って、ズンズンと鐙小屋の方へ引っぱって行きました。

弁信さん――

それから、わたしはあの神主さんに伴われて、鐙小屋まで参りましたが、すべてが、なんという陽気なことでしょう。

あの神主さまの顔は、かがやくばかりです。といっても、神様のように神々しく、近寄り難いかがやきではなく、人間が始終、何かに満足しながらいきているようなかがやきであります。

わたしを離れ岩の上から引きつれて行った手の温かいこと、こんな寒いところに、ひとり行をしているとは思われませんでした。

炉へ火をたいて、わたしを温まらせながら、わたしの顔を見て、にっこりと笑った眼の細い、頬のたっぷりとした、蔭や、毒というものの微塵も見えないあの面立ち。活きた福の神様というのが、これだろうと、つくづく、わたしはその時に感心致しました。

しかし、この福の神様は、俵もたくわえていないし、金銭も持ってはいないし、そば粉か何かを、毎日少しずつ食べているだけだそうです。

この神主様は毎朝、お光を仰ぐために、乗鞍ヶ岳の頂上の、朝日権現様まで、人の知らないうちに登り、人の知らないうちに帰って参ります。