Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠10
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠10 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 285.635 Zeichen · 558 Bildschirme
要するにウスノロ氏は、ウスノロ氏だけのことしかしでかし得ないものだろうから、こういう場合に処するには、また処するだけの道があったろうと思われる。落着いてその道を講ずる余裕を失って、狼狽してことを乱すと、かえって相手の兇暴性をそそり、敵に乗ぜらるるの結果を生むかも知れない。
恐怖が、この娘を狼狽させたが、狼狽から、いよいよ恐怖がわいて来た。
「行っておしまい、誰か来て下さい――」
二度大声をあげると、娘は腰から下にかけていた毛布をとって、そのまま力を極めて大の男に投げつけたものですから、大の男がまた大あわてにあわてて、その毛布を取除こうとして、かえって深くかぶり、一時は非常に狼狽したが、やがてそれを取払うと、娘が、
「誰か来て下さい――」
四たび叫びを立てたものですから、大の男が堪らなくなって、その口をおさえました。口をおさえるにはまず右の腕をのばして、軽々と自分の胸のところまで引きつけて、そこで口をおさえると、娘が、両足をジタバタとさせてもがきました。
こうなった時に、ウスノロ氏に、はじめて本能的の兇暴性がグングンと芽をのばしたように、
「あれ誰か来て――」