Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠10

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠10 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 285.635 Zeichen · 558 Bildschirme

Aozora Bunko

「そうかも知れません」

「ただいま、浴槽で聞いたのだが、昨晩は君の姿が見えないために、総出で探し、どうしてもわからないから、君は駈落をしてしまったものときめているらしい」

「え……?」

「だから、そのつもりでお帰りなさい、事がむずかしければ、拙者が行って、証人に立って上げるから……」

「そうかも知れません。そうだとすれば、わたしは、ヒドい目に逢わなければならないかも知れません。ああ、どうしたらいいでしょう。でも、帰らなけりゃならないわ」

「もし、事が面倒になったら、お知らせなさい」

驚きあわてて出て行く芸者の後ろ姿を見て、兵馬は笑止の至りに堪えません。

そこで兵馬は、早立ちをすべきはずのを、わざとゆっくり構え込んで、朝飯を食べました。

何か苦情が起った際には、あの女のために、証人に立つべき義務があると思ったからです。

しかし、幸い、別に問題は起らないと見えて、出て行ったきり、音も沙汰もありませんから、話というものは、すべて大仰なものだ、噂によると、あの旦那なるものは、生かすの、殺すのと、騒ぎ兼ねまじき話であったが、なんの、ことなく納まったところで見ると、すべて、女にのぼせる男というほどのものは、のろい者で、女が眼前へ現われて、泣いたり、あやまったりしようものなら、忽ち軟化してしまう。