Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠10
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠10 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 285.635 Zeichen · 558 Bildschirme
聞くならく
雲南に瀘水あり
椒花落つる時、瘴煙起る
大軍徒渉、水、湯の如し
未だ十人を過ぎずして
二三は死す……
と断続して、「且ク喜ブ、老身今独リ在リ、然ラザレバ当時瀘水ノ頭、身死シテ魂孤ニ骨収メラレズ、マサニ雲南望郷ノ鬼トナルベシ……」と、急転直下、朗読体に変って行ったのが、白日の浴室の中に、恨みを引いて糸の如し、と見れば見られないこともないのです。
果して、お雪ちゃんはその日一日を、源氏の間で暮してしまいました。
暗くなって帰る時、ちゃんと竜之助のそばへ行燈をつけて、自分の部屋へ帰り、そこでまた行燈をつけて、炬燵のうずみ火を掻き起して、やぐらの上へ頬ずりをするほどに身を押しつけてしまったくらいですから、別段、あわてた素振も、うろたえた様子も見えません。
けれども、そこで、ぐったりとして、改めて仕事にかかろうでもなし、別に蒲団をのべて寝ようとするでもありません。
じっと、炬燵櫓の上に身を押しつけたままで、動くことさえがおっくうのように見えました。
こうして、半時ばかりも、じっとしている間に、ひとりでにお雪ちゃんの眼が、涙でいっぱいになりました。
いっぱいになった涙が、ハラハラと頬を伝って流れましたけれども、それを拭おうともしない間に、相次いでの感情がこみ上げて来ると見えて、ついつい本当に泣いてしまいました。