Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠10

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠10 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 285.635 Zeichen · 558 Bildschirme

Aozora Bunko

武術の上から見ても、この点は段違いだと、胆を奪われたことが幾度か知れない。夢中に夢を見て、それが夢だとは思われないと同じこと、玄人であり、商売人であり、かけ引きと、翻弄とのほかに真実味は何もない――と悟らせられながら、やっぱりそれにひっかかる。

みようによっては、どこを見ても、ここを見ても、隙だらけだと、腹に据えかねながら、それに打ち込めない。打ち込めば、思う壺というように、あやなされてしまう。

その太刀筋がよくわかる時と、まるっきりわからないことのあるために、煮え切らない、腑甲斐のない、ふんぎりのつかない、なまくら者にされてしまうことが、我ながら愛想の尽きるほど心外千万だ。

だが、あの女も、ああして老人のお囲い者となって、あれで満足していようはずはない、別に何か生涯の考えはなければならないはずだ――と、兵馬はよけいなことを考えてみる。よけいなことではないのだ。つい先頃までは、自分の心持のほとんど全部を占領していた重大事には相違ないのだが、強いてそれを、ツマらないこととして葬ってしまおうと苦心している時、入口ののれんが颯とあいたので、われにかえりました。