Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠10
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠10 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 285.635 Zeichen · 558 Bildschirme
「南洋軒力水なんて講釈師が江戸にありましたかねえ」
「聞きませんねえ」
お角は透かさず応答しました。
「わたしも、あんまり聞きませんが、旨いには旨いですね」
「気取らないところがようござんすよ」
「そうです、あいつは素人ですね」
「あなたは、どちらから、いらっしゃいましたか」
「わっしですか、わっしは常陸の水戸在のものでございますよ」
「上方へおいでなさるんですか」
「ええ、上方の方へ出かけて、帰り道なんでございますよ」
「講釈がお好きですか」
「嫌いでもありません、まあ、英雄豪傑の話や、忠臣義士の事柄を聞いていると、見て来たような嘘と思いながら、悪い気持はしませんですよ」
「あなたの御商売は何ですか」
これは随分ぶしつけな問い方でしたけれども、お角はこういって突込んでしまいました。つまりお角としては、大抵の人品は見当もつき、判断もつくのですけれど、この男はどうも判断のつき兼ねるところがあったと見え、そのもどかしさから、一息に、無遠慮に、突込んでみたものでしょう。そうすると、その男は笑いながら、
「何と見えますか。わかりますまい、さすがのお前さん方にも、わっしの見当はつきますまいね」